めげない

 家呑みしたら記事を書くルールの徒然日記。

LOVE

11月。父親の命日を、今年は遠く離れた場所で過ごす。普通に仕事の日だったので、休憩時間に母には電話したけれど、ついうっかり過ごしてしまうところだった。


私はポテトチップスがとても大好きで、それはもう子供の頃からで、よく父がつまみに食べていた、カラムーチョみたいな細切れ状の塩味の、アルミ缶に入っているもの*1をこっそり盗み食いするぐらいに大好きだった。母親が台所に立っていると、その背中越しのこげ茶色のキャスターの下の段に置いてあったそれにこそっと近づいて、ゴム製のふたをばっとあけて、ひとつかみつかんで、すぐに元に戻して、獲得した大好物のポテチを口に放り込んでもぐもぐしていた。

一度、そのふたをきちんとしめていなくて、夏になると出てくるあの奴が入り込んでしまった時があった。母は私の事を叱ったけれど、父は叱られる私を見てかわいそうと思ったのか、今思えば小学校の低学年のわが子が自分のおつまみをこっそりこっそり食べていたのを微笑ましく呆れて思ったのかもしれないけれど、「食べてもいいんだ、ただふたはちゃんとしめなさい」と言うのみだった。それをものすごく覚えている。それからは父に食べていい?と聞いて、ちょこちょこつまんでいた。あのしょっぱさ、油っこさ、ジャンクフードな味が大好きで、今でも自分へのご褒美はポテトチップス一袋とコーラな私。

父も一緒に家族四人で暮らした部屋は今は祖父の作業部屋になっているのだけれど、こんなせまくるしい、天井も低いアパートで四人で暮らしていたのか、と信じられなく思うぐらい、その部屋はせまい。子供部屋なんてあってなかったようなものだったし、夫婦の寝室もなければ部屋なんてテーブルと二段ベッドでうもれるぐらいだったはず。当時はそんなこと気になりもしなかったけれど、父が仕事から帰ってきてネクタイをとる様子を、今でも覚えている。不釣り合いなほどに大きな鏡があって(結婚祝いか何かのはめ込み式だったはず、)それにうつる父と鏡ごしに会話をよくしていた。今日の夕飯は鍋だよ、みたいな話ばかりだった。


私は顔も性格もものすごく母に似ていると思うけれど、てきとうでできるだけなまけたくてだらだらするのが好きなところや、味覚などはとても父似だと思う。私の好物は父に似ている。酒ものまないうちからおつまみの類が大好きなところ、オンチだけどカラオケは大好きなところ、休みの日は何もなくても外食をしたがるところ。最後の一つは家族全員、父親に影響されて今でもとても好きだ。お金はあまりなくても、貯金に回すより休日に外食をするのが本当に大好きな人たちだ。


反抗期を迎える前に別れてしまったし唐突すぎたので、色々美化されているとは思うけれど、ものすごくやさしかった、といろんな人に言われる父。年末には姉が結婚式をする。いい披露宴になればいいと願いつつ。

*1:アメリカの輸入菓子だったと思うんだけど